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骨太教育論

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2025-01-24更新

第49回:2025年共通テスト数学 講評

今年の共通テスト数学をひととおり解いてみて、どういう印象だったか、どういった点が問われているのかなどをまとめます。

全体の講評としては、定義の理解を問う問題が多く、それらを意識できて勉強してきた受験生にとっては易化、パターンの暗記で乗り切ろうとした受験生にとっては難化したのかな、と思います。学習の本質に立ち返るいい機会だと思います。

「問題をひたすら解いて数学の勉強が進んだ気になる受験勉強の時代は終わった」ということです。

 

[数ⅠA]

前年との違いとして、新課程となったことで選択にあった「整数問題」が削除され、全問必答となりました。整数問題は、パターンがさほど多くなく、また、問題を見ればどのパターンなのかもわかりやすかったため、得意とする受験生が多かった単元でもありました。それがなくなったことで、得意不得意が分かれやすい図形と確率を解くしかなくなったのは、「得意単元を選べる」という利点がなくなったという意味では難化したと考えてもよいでしょう。(これは戦略上の面で、問題個別に難しかったというわけではありません。)

全体として、誘導が丁寧でした。誘導にきちんと乗れる読解力があれば、ほとんどの問題は標準かそれ以下の難易度で、問題個別の難易度として見れば易化したといえます。

以下はコメントしておきたい大問の講評です。

・大問2の「2次関数」の問題は、係数が分数になることで計算が面倒ではありましたが、解答の方針については極めてスタンダードでした。計算力を求められる問題でした。

・大問2の後半、「データの分析」については、公式の意味などを十分に理解していれば簡単な問題でした。

・大問3の「図形」問題では、「球面の切り口が円であること」から、立体の問題でも必要な平面で切り取って、方べきの定理を適用すればよいだけの問題でした。タイプとしてはなかなか見かけないので、面くらった受験生もいたかもしれません。最後の正誤判定問題は難しい問題だったかなと思います。

・大問4の「確率」の最後では、期待値を元にくじの胴元の立場に立って価格設定が妥当か判断する問題でした。”くじを引く側に立って”そのくじが得かどうかを判断する問題は学校問題集などでもよく見かけましたので、その逆側の立場の問題なだけではありますが。

 

[数ⅡBC]

新課程となり、数C範囲のものも選択問題に組み込まれました。

こちらも数ⅠAと同様、「定義の意味・意義の理解」が十分な受験生とそうでない受験生では難易度の感じ方が大きく違うだろうと感じました。この点は数ⅠAよりもはるかに顕著だったと思います。

「拡張した三角比の定義」「対数の現実的な利用」「不定積分・原始関数の意味」がきちんとわかっていたら、必答問題である大問1~3は簡単に感じたと思います。逆に、それらを暗記で済ませていた場合は、手をつけづらい問題であったかな、とも思います。

以下はコメントしておきたい大問の講評です。

・大問1は「三角比の拡張」の問題でしたが、共通テストらしいというよりはセンター試験らしいタイプの問題でした。拡張した三角比の定義について理解していれば取りやすいかと思います。とはいえ、三角関数は数Ⅱの中では苦手とする受験生が多い単元でもありますので、ここを難しく感じた受験生も多かったのだろうと思います。

・大問2は「対数の利用」でした。対数とは何か、何のために導入された概念なのかが分かっていれば誘導に乗るだけの問題で、今年は計算もほとんど必要なかったため、そのあたりを学習していればかなり短い時間で解き終わる問題でもありました。

・大問3はかなり共通テストらしい、「ほとんど計算を要求しない微積分」の問題でした。センター試験だった時代ではあまり考えられませんね。これも「導関数とは」「原始関数とは」「極値とは」といった用語の意味を深く理解しているかを問う問題でした。

・選択問題4題は、いずれも標準的な問題であったと思います。大問7の複素数平面は今年度から共通テストに追加されたので、過去問演習などが積みにくい単元ではありました。珍しく「数列」より「ベクトル」の方が計算量が多く、難しかったと思います。

 

上記にコメントした通り、シンプルな「公式の暗記」「問題パターンの暗記」では難しく、「定義の意味・意義の理解」が十分な受験生と、そうでない受験生の間で大きく体感難易度が違ったのではないかと感じます。

数学の学習の根幹は計算ではなく定義の理解を基にした思考である、ということを意識できているかが分かれ目であり、これから先もそういった問い方をしてくるのだろうと予想できます。


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